「新しい知と出会う」ブックホテル『松本本箱』家族で本と食と温泉に浸る旅。

松本十帖とは

2022年7月にグランドオープンした、松本十帖。長野県浅間温泉にある老舗旅館「小柳」再生プロジェクトの総称で、温泉街の「エリアリノベーションのきっかけ」作りを目的とする、10の物語(施設)を展開。施設内には、「HOTEL小柳」「松本本箱」2つのホテルがあります。

引用:松本十帖HP 周辺ガイド

旅の始まりは、カフェ「おやきとコーヒー」から

チェックイン等のレセプションは、施設のある湯坂通りのふもと、小さなカフェ「おやきとコーヒー」で。施設には駐車場がないので、車はお店脇の駐車場に停めます。

おやきとコーヒー

昭和初期、芸妓さんのお支度部屋だったという建物をリノベーションしてできた空間には、壁や梁に当時の名残が。

ウエルカムドリンクと、焼きたてホクホクのおやきを頂きます。

チェックインを済ませ、湯坂通りを数分登っていくと、松本本箱が見えてきます。

室内のインテリア

全24客室のうち2階の客室は、8歳未満の子連れ利用ができます。我が家は9歳の子どもがいるので、ファミリー対応のデザイナーズツインルームに宿泊。ドアを開けると、壁面はコンクリート・天井はデッキプレートむき出しに。計算されつくされた無骨さが、何ともカッコいい空間です。

部屋の真ん中には「おこもり書斎ベッド」と称された、上下段の空間が。子どもは2段ベッドの秘密基地だと喜び、大人にとっても、静かに落ち着くことのできるスペースになっています。

源泉かけ流しの露天風呂からは、木々の緑が広がります。

おとな本箱

「新しい知との出会い」がコンセプトの、ブックストア松本本箱。選書は、入門書やエッセイ、画集や写真集など、約1万2000冊。本の道を通り、靴をぬいで上がるげんせん本箱。赤いカーペットの正面には、エーロ・アールニオデザインの「ボールチェア」がお出迎え。『新しい生活様式とは』その問いの答えが書棚にあるそうです。

げんせん本箱

階段を上がると、静かに籠って過ごすことのできる空間も。無料で頂けるお酒を飲みながら、読書に没頭することができます。

その先には、以前は大浴場だった場所を改装して作られた「オトナ本箱」。コーナーに位置するコロンとした丸みのラウンジチェアは、エーロ・アールニオの「パスティルチェア」。オレンジカラーがインテリアのアクセントに。浴槽や水栓など、浴場の名残と、鏡に反射した大きな書棚が圧巻の空間です。

こども本箱

暖簾をくぐると、迷路のような書棚に、絵本がズラリ2000冊。子どもの頃に見た・読んだ絵本を見つけては、懐かしい気持ちに。大人は背をかがめて進むと、迷路の奥にはボールプールとなった浴槽が‼思わず童心に返るような空間です。

レストラン「三六五+二」

信州信濃の「風土・文化・歴史」が表現された、『ローカルガストロノミ―』。信濃川の流域と、大河が注ぐ日本海でとれた魚料理などで構成されるコース料理が提供されます。野菜は素材の味を堪能し、肉は環境負荷の少ない方法で飼育された、放牧豚のロースト。パチパチと焚火の弾ける音が聞こえるダイニング。365+2=367は、信濃川の全長と同じ。スタッフの方の説明を受け、子どもにとっても生きた社会の知識となりました。

インテリア好きにとって、どこでも本を読めるというコンセプト。鮮やかな色使いと、計算されつくされたモダンな空間。どこにいても居心地のよい空間でした。

じっくり本を読めるようになってきた子どもを連れての家族旅。気ごころ知れた友人と過ごす場として。自分のペースで過ごす一人旅。ワーケーション。そんな時間を過ごすのに、ぴったりの場所です!

施設詳細

MATSUMOTO JUJOcreated by JIYUJIN

〒390-0303 長野県松本市浅間温泉
Asamonsen, Matsumoto-shi, Nagano 390-0303, Japan

この記事を書いた人

辻 奈津子

東京都調布市在住。
小児看護と男子二人の子育て・専業主婦経験を経て、好きだったインテリアを2年かけて専門的に学ぶ。2018年〜N-style interior & lifestyle design 主宰。実生活を考慮したインテリア提案、お客さまに寄り添う姿勢に定評がある。